私んちの婚約者
そりゃもう人生で一番と言っていいほど、深々と拝めば。
愁也はにーっこり、黒い微笑みを浮かべて。

「いいよ?
信用されてなかったのは悲しいけど、そのお陰で、梓からあんなに濃厚なキスして貰えたから。まあ許してやってもね」

く、わざわざ倒置法で言いやがった。
お許しが出たかと思いきや、愁也は私の顎をとらえて囁いた。

「もちろん、あの馬鹿とデートしたことについては、後できっちりお仕置きするからな」

……愁也様、どこまでもSですね。

「じゃあ、アズサ。着てみて貰える?最終調整するから」

エリカがにっこり微笑んで、私を試着スペースに引き込んだ。
彼女はとても手際が良くて、あっという間に真っ白に光るドレスを着せられてゆく。

サイズぴったりだ、あのエロイケメンめ。

「愁也は、ズルい」

何もかもがかなわない。
なんとなく口を尖らせれば、エリカが頷いた。

「まったくねぇ。でも、どうせ最終的にはアズサが勝つのよ」

う~ん、出来るのかな。

愁也を驚かせたい。
動揺させたい。
私で頭いっぱいにさせたい……とか。

そんな野望、持っても良いのかな?


「せっかくだから、フル装備しちゃいましょうね~。うふふ、今度はシューヤを驚かせてやりましょ」

エリカの、美女台無しのニヤニヤ笑い。
けどそれが、なんだか日本の親友、マキを連想させて。
凄く可愛くて、親しみを覚える。

私は思いっきり頷いた。
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