私んちの婚約者
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それから何日か、私達はゆったりと時間を過ごして。
愁也の仕事の合間に観光をやり直して。

日本に帰る日になった。

エリカにお礼を言って、マリアにどつかれて。
空港でパラパラと雑誌をめくりながら、私は素朴な疑問を持つ。

「ねぇ、そいえばドレスって式場決まってから決めるものじゃないわけ?」

愁也に渡された結婚情報誌にそんな事が載っていたっけ。
愁也から、会場の様子とか、システムがあるから、早く式場を決めろって言われてたような。

「ん?そうだね」

愁也の隙のない微笑み。

ん?

「もしかして、会場も日取りも決まってるなんてことはないでしょうね」

嫌な予感に聞けば。
にっこり、が更に深くなった。

待て待て待て!!?

「愁也っ、まさか全部一人で決めちゃったんじゃ」

あり得る!
あり得るよぉお!!

「あはは、なに言ってるの、梓」

「いつなの!?私達の結婚式はいつなのおぉお!?」

なんで当事者が知らないのよ!?

「とりあえず、“お父さんへの手紙”は書いておいたほうがいいんじゃない?」

「なんだそれ!?父を感激さすくらいなら隣んちのジジイに書くわ!!」

錦鯉強盗未遂のお詫びをね!!


「うん、じゃあ飛行機で書くといいんじゃない?」

はあ!?
すでにカウントダウンが開始されてる気がする……!!

「ちょっと待って、ほら、花嫁修行とか、マリッジブルーとか、地味ながらも色々あんでしょ、醍醐味が!!」

つかみかかって言えば、愁也は首を傾げる。


「花嫁修行ならあの料理で充分だし、マリッジブルーなら感じて欲しくないな。喧嘩もしたし、仲直りもじっくりしたデショ?」

彼が私の腰を両手で引き寄せた。
イタリアに感化されるな!ここは公共施設だ!!

「本当のこと、教えてあげてもいいけど……」

……って、なんかやっぱり企んでるの?
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