私んちの婚約者
あまりのことに茫然としている私に、愁也は楽しそうに微笑む。
なんだその素敵三割増な笑顔は!うっかりすっかり丸め込まれるかっての!

「ほらほら、いちゃつくのは後にして、早く着替えてらっしゃいよ、梓」

突然の軽快な声に振り返れば、ドレスアップしたマキが現れて、私の背中を叩いた。

「へっ!?えっ!?はっ!?」

「おかえり。おめでと」

簡潔に告げるマキちゃん、笑顔がニヤニヤ笑いになってます!
何!?何が起こってるの!?

さすがの鈍感極トロな私も、だんだん理解してきたけど、まさかの事態にもう一度愁也を見上げれば。
愁也は悪戯が成功した子供みたいな目で笑ってる。


この、この、
――ああもう形容詞が見つからないんだけど!!

「可愛けりゃ許されると思ったら大間違いだ!!」

思わず拳を握り締めたら。

「一生残る思い出に、青あざの花婿はどうかと思うけど?」

愁也がニヤリと笑った。
う、うぅ!確信犯だ!!

「それに超特大のウェディングケーキだよ。さっきの夢がもう叶ったな?」


うっ!!た、確かにそれには心惹かれる!!!
ああ、だけど~。

私の様子を見て、マキはアッサリと背を向ける。

「あ、もう撃墜ね。じゃあ私は先に戻ってますからね。合コン連合会の有力候補を物色中なんで!」

マキちゃん、私の結婚式で何をしてるのおお!?


「おいで、梓」


愁也は構わず、私の手を引いた。


「見せたいものがあるんだ」
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