私んちの婚約者
幸福、婚約者
エリカ自信作の、キラキラ輝く純白のドレス。
サテンのロンググローブ。
編み込んだ髪にはパールでできたクラウン。
シンプルなチュールのベール。
白と柔らかなピンクに纏められた薔薇のラウンドブーケ。

どこからどうみても、完全なる『花嫁さん』。

小さな頃に憧れた、夢の姿そのもの。


完成した私の姿を見て、父が飛びつかんばかりに叫ぶ。
なんだその広げた両腕は。

「あずさああ~綺麗だよ~!!」

「父、鼻水つけないでよね!」

「ヒドいよ~」

愁也のプランに乗っかって、黙ってた父に呆れつつも。

「……んもー。そんなべぇべぇじゃ、エスコートさせないよ?……パパ」

「梓ちゃんがパパってぇえぇ―!!やっぱり誰にもやらない~!!」

うおっと。そ、それは困る。

「ほらほら、おじ様。行きますよ!」

マキが私にウインクして、『任せとけ!!』と父を引きずって立たせた。

はあ。もう覚悟を決めたぞ、私は。
いっちょやってやろうじゃないの。


チャペルの入り口で父の腕に手をのせて。
少しばかり緊張。

だって、この扉の向こうには。
大好きなひとが待ってる。


ガチャンと大きな音を響かせて、扉が開いた。
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