私んちの婚約者
*
職場までは車通勤とのことで、愁也の運転で、会社へと向かう。
彼の事だから何だかカッコいいスポーツカーと思いきや、普通に国産セダン。私は車の事はあまり詳しくない。でも中も外もちゃんと綺麗にしているのは良く分かった。父の車なんて会社の資料とか、受付嬢に貰ったお菓子とか、後部座席にほいっと置いてあるもんね。いいのか、社長。
はい、もちろん。
運転する姿も、
無駄に、無駄に!
格好良いわ、この男は。
ああ、愁也病の初期症状じゃないでしょうね……。
予防!予防!
換気だ!
ガーッとパワーウィンドウボタンを押した私に、彼がちらりと視線を投げた。
「梓、窓から顔を出さないでね」
「小学生か、私はぁあっ!!」
思いっきり抗議したならば、またまた楽しそうに笑い出す愁也。
「愁也さんてー笑い上戸だよねえー」
口を尖らせて言ったら、彼は首を傾げた。
「……いや、俺普段はあんまこんなに笑わない。梓と居る時だけだな。
おかげで顔と腹が筋肉痛なんだよね」
……今なんかうっかりスルーしたい台詞があったぞ。
わ、私と居る時だけ?
そりゃ見た目はクールっぽいっていうか、淡白そうだけど。
こんなに人の顔見て笑っといて、そんなーー思わせぶりな台詞を吐かないでほしい。乙女偏差値が皆無な私でも砂を吐きそうだ。
「だから、梓!
顔も手も出しちゃダメだって。あんた小学生以下だな」
うるさい、今すぐここから逃げ出したくなったんだい!
職場までは車通勤とのことで、愁也の運転で、会社へと向かう。
彼の事だから何だかカッコいいスポーツカーと思いきや、普通に国産セダン。私は車の事はあまり詳しくない。でも中も外もちゃんと綺麗にしているのは良く分かった。父の車なんて会社の資料とか、受付嬢に貰ったお菓子とか、後部座席にほいっと置いてあるもんね。いいのか、社長。
はい、もちろん。
運転する姿も、
無駄に、無駄に!
格好良いわ、この男は。
ああ、愁也病の初期症状じゃないでしょうね……。
予防!予防!
換気だ!
ガーッとパワーウィンドウボタンを押した私に、彼がちらりと視線を投げた。
「梓、窓から顔を出さないでね」
「小学生か、私はぁあっ!!」
思いっきり抗議したならば、またまた楽しそうに笑い出す愁也。
「愁也さんてー笑い上戸だよねえー」
口を尖らせて言ったら、彼は首を傾げた。
「……いや、俺普段はあんまこんなに笑わない。梓と居る時だけだな。
おかげで顔と腹が筋肉痛なんだよね」
……今なんかうっかりスルーしたい台詞があったぞ。
わ、私と居る時だけ?
そりゃ見た目はクールっぽいっていうか、淡白そうだけど。
こんなに人の顔見て笑っといて、そんなーー思わせぶりな台詞を吐かないでほしい。乙女偏差値が皆無な私でも砂を吐きそうだ。
「だから、梓!
顔も手も出しちゃダメだって。あんた小学生以下だな」
うるさい、今すぐここから逃げ出したくなったんだい!