私んちの婚約者
「……もう一度、告白しますわ。
“婚約者”の西園寺の娘ではなく、ただの葵として」


散々泣いて。
散々悩んで。

でも諦めきれない。
この人達の前で嘘なんてつけない。

蓮也さんには、私自身を受け入れて欲しいから。
もう一度。

「それでダメなら仕方ありませんわ!」

「諦めるの?」

「何度だって玉砕しますわ!!」

私の決意に、梓さんと愁也さんは嬉しそうに微笑んでくれた。

「その意気だよ、葵ちゃん!また泣かされたら、私が魔王討伐したげるからねっ!」

「勇者梓さん、だからその花瓶は装備から外そうね」


本当は怖い。
また拒絶されるかもしれない。
もう無視されるかもしれない。

それでも。


「好きな気持ちは、止められませんわ!!」


やっと知ったの。
自分の気持ちのままに動くこと。

だからあなたにも知って欲しいんです、蓮也さん。

自分の為に生きること。
だれかに寄りかかること。

その相手が私だったら、ってまだ願わずにはいられないの。
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