私んちの婚約者
**
「まったく、世話の焼ける愚兄ね。良い歳こいて恋愛音痴の魔王か」
梓さんが呆れたように言う。
「それに本気でイイ歳なんだから、再婚約よりもう結婚でしょーが」
あいついくつだ?と指折り数え始める梓さんに、愁也さんが梓音ちゃんをあやしながら苦笑した。
「まあアイツも色々あるってことでしょ。だけど一度ストッパーが外れると抑え効かないタイプだから、葵さん、気をつけて」
艶めいた微笑みに、思わず赤面してしまう。
梓さんが愁也さんを睨んだ。
「愁也みたいに?……このエロイケメンめ」
「そんなに褒められたら、ぜひ今夜にも期待に応えなくちゃな」
「ぎゃああ!シィ、ママを助けて!!」
梓さん達の微笑ましいやりとりを眺めていた私の肩を、抱き寄せた手。
「蓮也さん」
「今日の便でイタリアに戻るんだろう。東堂に車を回させたから、早く行け」
シッシッと手を振って、愁也さんと梓さんを送り出す。
「じゃあまたね、葵ちゃん!ついでに蓮也!」
「はい、お元気で、梓さん、愁也さん!梓音ちゃんも!」
二人をお見送りして。
私は隣に立つ蓮也さんを見上げる。
「寂しいですか?」
「やっと静かになった」
ふふ、ひねくれ者。
優しい唇が私に触れる直前、私は彼に囁いた。
「すぐに寂しくなくなりますよ。子供、私が産んであげますから」
私たちが結婚して、赤ちゃんが生まれるのはそれからすぐのこと。
同じ年に梓さん達の第二子が生まれるのも、
今はまだちょっとだけ先の話。
~fin~
「まったく、世話の焼ける愚兄ね。良い歳こいて恋愛音痴の魔王か」
梓さんが呆れたように言う。
「それに本気でイイ歳なんだから、再婚約よりもう結婚でしょーが」
あいついくつだ?と指折り数え始める梓さんに、愁也さんが梓音ちゃんをあやしながら苦笑した。
「まあアイツも色々あるってことでしょ。だけど一度ストッパーが外れると抑え効かないタイプだから、葵さん、気をつけて」
艶めいた微笑みに、思わず赤面してしまう。
梓さんが愁也さんを睨んだ。
「愁也みたいに?……このエロイケメンめ」
「そんなに褒められたら、ぜひ今夜にも期待に応えなくちゃな」
「ぎゃああ!シィ、ママを助けて!!」
梓さん達の微笑ましいやりとりを眺めていた私の肩を、抱き寄せた手。
「蓮也さん」
「今日の便でイタリアに戻るんだろう。東堂に車を回させたから、早く行け」
シッシッと手を振って、愁也さんと梓さんを送り出す。
「じゃあまたね、葵ちゃん!ついでに蓮也!」
「はい、お元気で、梓さん、愁也さん!梓音ちゃんも!」
二人をお見送りして。
私は隣に立つ蓮也さんを見上げる。
「寂しいですか?」
「やっと静かになった」
ふふ、ひねくれ者。
優しい唇が私に触れる直前、私は彼に囁いた。
「すぐに寂しくなくなりますよ。子供、私が産んであげますから」
私たちが結婚して、赤ちゃんが生まれるのはそれからすぐのこと。
同じ年に梓さん達の第二子が生まれるのも、
今はまだちょっとだけ先の話。
~fin~