私んちの婚約者
「やりません」

即答したのは私じゃなく愁也で。

「何言ってるんですか、駄目ですよ。男子高校生なんて、脳内90%は性欲なんですからね?密室に二人でお勉強なんて、何かあったら、むしろ何もなきゃおかしいんじゃね?ってくらい危険なんですから」

とんでもない言いがかりだ。
全国の男子高校生の皆さんに謝れ!

彼の過剰な心配に、父はへラリと笑った。


「いやあ、そんな子じゃ無いよ?僕の友人の息子さんでね?真面目ないい子だし……」

「黙れアホ親父」

愁也さん!?
笑顔のままさらりと罵倒しましたよ、今!


「ふーん、愁也もそうだったんだ?」

私はさっきの愁也への当てつけもあって、ついつい意地になってしまう。
彼は苦々しく否定して。

「いや、そーいうわけじゃないけど。俺の時はむしろあっちから迫られて」

そこまで聞いてないし!!

「なら平気でしょ、私から迫ることなんて無いし。だいたい私はお色気皆無だもん!あっちだってそんな気起こさないよ!」

うう、自分で言ってて虚しいな!

「教育実習の練習になるかもだし、私やるよ!」


ーーその時の私は考えてもいなかった。

まさか愁也の心配が的中する羽目になるなんて……。
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