私んちの婚約者
ああ、私らしくないな!

(でも、相手は美人年上女性だよ?
もしかして、今懐かしさに恋心まで復活しちゃったり……)
(いやいや!愁也はそんな人じゃないよ!)

ヤバイ。
プチ梓の脳内首脳会談が始まってしまう!
落ち着け、私!


「……梓?」

愁也が私に視線を向けて。
その瞳が優しく弛んだのを見て。

ーー私の迷いに気づいたんだと分かった。

彼はそのままユウリさんに言う。


「ーー彼女は、俺の最愛の婚約者」


にこりと笑う愁也に、私はなんだかすごく恥ずかしくて。

……だけど、嬉しくて。


ユウリさんが驚いたように私を見て、けれど優しく「そうなの」と呟いた。

「私も来月結婚するのよ。お互い、幸せになりましょうね」


ーーちょっとだけ、寂しそうに見えたその瞳に。
私も愁也も、気づかなかったフリをした。
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