私んちの婚約者
***
それから数ヶ月後、私達は大騒ぎの後に結婚式をあげるのだけれど。
今はまだ、それも先のこと。
いつものように、私達の日常は続いてく。

**

「梓、あんたまたお取り寄せした?もう面倒だから現地行って食おうよ」

「何それ。面倒加減で言ったら、そっちのほうがハイレベルだよね。
それに大丈夫!透也にこの前の宿泊費がわりに、デカイ冷蔵庫買ってもらう約束したから~」

「俺の知らないうちに、あの馬鹿スネちゃまとそんな話までまとまってるわけ?」

「え、な、な、何なんで?怒ってるの?」

「妬いてるだけだよ。悪い?」

「なにその開き直り!仕方ないじゃん、何でも欲しいもの言えっていうからあ!」

「そこでジュエリーとか、ブランドバッグとか、出てこないとこがあんただよな……」

「お取り寄せは私のライフワークなの!人生の潤いなの!もはや私の一部なのぉ!」

「また大きく出たな」

「何よ、悪い?」

「別に。そゆとこも可愛いから」

「……っ!!不意打ちか、キサマ!卑怯者め!」

「……口説いて卑怯者呼ばわりされたの始めてだよ。あんたといると、初体験だらけだな」

「……イヤミ?」

「好きになり過ぎてどうしようってことですよ」

「っ、っ!!なに企んでんの!?」

「……口説いて陰謀を疑われたのも始めてだよ……」



毎日騒がしくて、
たまに喧嘩して。

ヤキモチも焼いて、
けど愛を囁いて。

また『いつものアレ』で
恋にどっぷり、浸からせてみせるから。


せいぜい仲良くやろうね、愁也。





fin.
< 249 / 274 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop