私んちの婚約者
**
久しぶりの大学。
「なっつかし~」
四年間通うはずの半分、イタリアに居た私にはなんだか母校って気がしないけど。
それでも懐かしい。
「結構広いな」
私を送って来てくれた愁也と一緒に、キャンパスを歩いていたなら。
「あ~、高宮梓!?」
誰よ、人のこと指差してる無礼者は。
って、
「あはは、教授。お久しぶりですぅ~」
「高宮てめぇ、ことごとく論文を他人に書かせやがって。卒業させねぇぞ、コラ」
ひえぇえ!
そう言って相手はガンガン近寄ってくる。
……この若い教授は口が悪い。フレンドリーで生徒には人気があるけれど。
「その代わりにその優秀な助手を紹介したじゃないですかあ~!」
慌てて愁也の後ろに隠れると、教授は驚いたように彼を見る。
愁也は軽く会釈を返した。教授はそんな愁也を見つめて首を傾げる。
「神前?」
「俺のイトコです」
私が生贄に差し出した透也が、教授の後ろからやって来た。
ああ、イトコってことにしてるのね。
確かに同じ歳の異母兄弟なんて説明は面倒。
「へぇ、よく似てるな」
教授は感心したように言ってから、ハッと思い出したように私を見た。
「たーかーみーやぁぁ」
その手に頭を掴まれそうになって慌てて逃げる。
私はUFOキャッチャーのぬいぐるみじゃない!!
「失礼。もう彼女は“高宮”ではないんですよ」
愁也が柔らかな声音で私と教授の間に立った。
「あ?あぁお前、結婚したんだっけ?って、君が旦那か」
「天野と申します」
……愁也のにっこり、に教授は少したじろぐ。
こ、これって、もしかして。
ちょっと嫌な予感に、私はちらりと彼の顔色をうかがってみたけれど。
「とにかく、後でちゃんと卒論見せに来いよ」
教授はなんだか不自然に離れて行った。
久しぶりの大学。
「なっつかし~」
四年間通うはずの半分、イタリアに居た私にはなんだか母校って気がしないけど。
それでも懐かしい。
「結構広いな」
私を送って来てくれた愁也と一緒に、キャンパスを歩いていたなら。
「あ~、高宮梓!?」
誰よ、人のこと指差してる無礼者は。
って、
「あはは、教授。お久しぶりですぅ~」
「高宮てめぇ、ことごとく論文を他人に書かせやがって。卒業させねぇぞ、コラ」
ひえぇえ!
そう言って相手はガンガン近寄ってくる。
……この若い教授は口が悪い。フレンドリーで生徒には人気があるけれど。
「その代わりにその優秀な助手を紹介したじゃないですかあ~!」
慌てて愁也の後ろに隠れると、教授は驚いたように彼を見る。
愁也は軽く会釈を返した。教授はそんな愁也を見つめて首を傾げる。
「神前?」
「俺のイトコです」
私が生贄に差し出した透也が、教授の後ろからやって来た。
ああ、イトコってことにしてるのね。
確かに同じ歳の異母兄弟なんて説明は面倒。
「へぇ、よく似てるな」
教授は感心したように言ってから、ハッと思い出したように私を見た。
「たーかーみーやぁぁ」
その手に頭を掴まれそうになって慌てて逃げる。
私はUFOキャッチャーのぬいぐるみじゃない!!
「失礼。もう彼女は“高宮”ではないんですよ」
愁也が柔らかな声音で私と教授の間に立った。
「あ?あぁお前、結婚したんだっけ?って、君が旦那か」
「天野と申します」
……愁也のにっこり、に教授は少したじろぐ。
こ、これって、もしかして。
ちょっと嫌な予感に、私はちらりと彼の顔色をうかがってみたけれど。
「とにかく、後でちゃんと卒論見せに来いよ」
教授はなんだか不自然に離れて行った。