私んちの婚約者
「ほらみろ」
愁也は戻って来た私の顔を、一目見て言った。
「な、なんで一瞬でわかるのおぉ!?」
今なら透也の気持ちがわかる。
“愁也恐るべし”
「で?人妻に手を出そうとした不届き者は成敗したんだろうな」
コーヒーのカップを傾けて聞く旦那様に、
「当然!」
と頷いてみせる。
「梓スペシャル8号をお見舞いして参りました、隊長!!」
「ああ、あの蹴り技か……。
よくやった、梓隊員。引き続き警戒態勢を取るように」
「はっ!了解であります」
ビシッと敬礼。
ふぅ、とりあえず魔王降臨は免れたかな?
「……なんてね。これで、許すと思う?」
……は?
いや、ちょ、ちょい待ち?
愁也はコトンとコーヒーカップを置いて、手を組んだ。
あら優雅。鬼畜な台詞を吐く俺様とは思えない格好良さよ、旦那様。
だからくれぐれも、妙なことは考えないでくれ!!
「ダンナの言うことを聞かずにアブナイ目に遭う奥さんには、お仕置きが必要だよな」
な、な、なんでぇえ!?
私は慌てて周りを見回す。
昼休み間近のカフェにはもうかなりの学生や、先生も居る。
ヤバい、ヤバいよ!!
こんなとこで何かやらかしたら、一瞬で学内中に広まるっての!!
「隊長、ここは日本であります!人前では何かと危険かと」
何とか思いとどまって貰おうとした私の顎を、愁也の指が捕まえた。
「日本てことを忘れさせてあげる。……Ti Amo」
う。
『愛してる』と囁かれて。
私はつい固まる。
「イタリア語でもダメだってばぁ!!」
ただならぬ様子に周りの学生達――特に女学生達がザワザワとこちらを気にし始めた。
もはやあと数センチでくっつきそうな唇に、必死で抵抗していたなら。
「あらまあ、門前じゃ飽きたらず、学内まで来ていちゃついてるんですか、愁也さん」
「明らかに俺の親族な顔で、恥を振りまくな!!」
見ればマキと透也がランチプレートを持って私達の傍まで来ていた。
助かった!
愁也は仕方なさそうに私を離して、でもしっかりと逃がさないように手を掴む。
「ただのお仕置きと虫除けのおまじないだよ。夫婦のコミュニケーションじゃないか」
にっこり笑った愁也に。
私達は揃ってため息をついた。
愁也は戻って来た私の顔を、一目見て言った。
「な、なんで一瞬でわかるのおぉ!?」
今なら透也の気持ちがわかる。
“愁也恐るべし”
「で?人妻に手を出そうとした不届き者は成敗したんだろうな」
コーヒーのカップを傾けて聞く旦那様に、
「当然!」
と頷いてみせる。
「梓スペシャル8号をお見舞いして参りました、隊長!!」
「ああ、あの蹴り技か……。
よくやった、梓隊員。引き続き警戒態勢を取るように」
「はっ!了解であります」
ビシッと敬礼。
ふぅ、とりあえず魔王降臨は免れたかな?
「……なんてね。これで、許すと思う?」
……は?
いや、ちょ、ちょい待ち?
愁也はコトンとコーヒーカップを置いて、手を組んだ。
あら優雅。鬼畜な台詞を吐く俺様とは思えない格好良さよ、旦那様。
だからくれぐれも、妙なことは考えないでくれ!!
「ダンナの言うことを聞かずにアブナイ目に遭う奥さんには、お仕置きが必要だよな」
な、な、なんでぇえ!?
私は慌てて周りを見回す。
昼休み間近のカフェにはもうかなりの学生や、先生も居る。
ヤバい、ヤバいよ!!
こんなとこで何かやらかしたら、一瞬で学内中に広まるっての!!
「隊長、ここは日本であります!人前では何かと危険かと」
何とか思いとどまって貰おうとした私の顎を、愁也の指が捕まえた。
「日本てことを忘れさせてあげる。……Ti Amo」
う。
『愛してる』と囁かれて。
私はつい固まる。
「イタリア語でもダメだってばぁ!!」
ただならぬ様子に周りの学生達――特に女学生達がザワザワとこちらを気にし始めた。
もはやあと数センチでくっつきそうな唇に、必死で抵抗していたなら。
「あらまあ、門前じゃ飽きたらず、学内まで来ていちゃついてるんですか、愁也さん」
「明らかに俺の親族な顔で、恥を振りまくな!!」
見ればマキと透也がランチプレートを持って私達の傍まで来ていた。
助かった!
愁也は仕方なさそうに私を離して、でもしっかりと逃がさないように手を掴む。
「ただのお仕置きと虫除けのおまじないだよ。夫婦のコミュニケーションじゃないか」
にっこり笑った愁也に。
私達は揃ってため息をついた。