私んちの婚約者
一通り周りを騒がせて、悠然とコーヒーを飲むイケメン男性。
透也が顔をひきつらせて呟く。

「ていうか、こんなに堂々とした部外者、初めて見たんですが」

ていうか、それは私の旦那様なんですが。
そしてあんたのお兄様ですが。

マキが可笑しそうに言う。

「でも今日ばかりは正解かもね。梓を見るのは久しぶりだし、卒業間近だから男共が浮き足立ってるもの。
気がつかなかった?梓を狙ってる男って結構いるのよ」

「……ほえ?うっそだあ」

そんなの初耳だ。

「ほら、そんな無防備だから愁也さんがついてきたんでしょ?」

そう言えば、なんで門前まで送って帰らなかったんだろ~と思ってたんだ。

つまり、他の男が私にちょっかいかけないように見張るため?
愁也を見れば、彼は苦笑いしてマキの言葉を肯定した。

「梓はイマイチ危機感が足りないからな」


……いや、いつもあなた相手には危機を感じてますよ?
それに今はどちらかというと、女学生達の好奇と嫉妬に満ちた目にも危機を感じるけどね!

なにせ美人なマキ、大人気助手の透也、正体不明の超イケメンが揃ってるんだ。
そりゃあ目を惹くはず。

「そこに梓も入るんだって、少しは自覚しなさい」

マキの言葉に愁也が頷き、私の肩を抱いた。

「ほら、だから余計な虫がつかないように、見せつけておこうな?」

「それとこれとは別だ!」


がっつんっっ!!


私は“梓スペシャル12号”を愁也にお見舞いした……。
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