私んちの婚約者
「なあんだ。いつも通り、ちゃんとイイ男ですよ?」

私の言葉に、愁也はふ、と笑みを零す。


いつもの、格好良くて、少し意地悪で、
だけど優しい、私の大好きな旦那様。


「捕まえていられなくなったら、取り戻しに来てね?今日みたいに」


いつだって。
ちゃんと来てくれるって信じてる。


「それでも見失ったら、私が愁也を捕まえに行くよ」


愁也は目を見開いて、
それから、くっ、と笑い出した。


「ああ、アンタはそうだったな」


私達は微笑み合って、見つめ合って、キスをする。
愁也がベッドサイドのライトを消した。

なんど触れられてもドキドキする彼の指先に、唇に、また翻弄されて。
愁也の瞳を見れば、同じように感じていてくれるんだってわかる。


両想いになったって、

結婚したって、

不安になったり、

弱気になったり。

いつか壊れてしまうかもしれない。


だけど約束するよ。

私はいつだって、あなたの傍にいる。
何度だって、取り戻してみせる。


『誓います』


あの日の約束は
今もふたりのもの。
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