私んちの婚約者
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「え~!え~!
で?どうなったの!?」
次の日私は、不機嫌オーラをまき散らした顔で大学に行き、親友のマキに洗いざらい喋らされた。
合コンクィーンの異名を持つ恋バナ大好き彼女は、勢い込んで聞いてくる。
その顔に“良いネタいただきました”って書いてあるよ、マキ!
「知らないよ!
あんなの犬に咬まれたようなもんだよ。あいつ絶対私のこと嫌いだもん。ただの嫌がらせ!」
昨日は思わず茫然としてしまったけど、もちろん鳩尾への一発は忘れずに入れようとしたわけですよ。
ところがあいつ、避けた。難なく私の拳を手で受け止めたんだよ。
やるなコイツ……!
と仕方なく引き下がったけれど、あと一発くらい、いや三発くらい殴っておくべきだった……!
私は自動販売機で買ったパックのカフェオレにストローを突き刺す。
苛々しているせいで力を込め過ぎて、ストローがぐにゃりと曲がった。
「何でお父さんはあんなのを拾ってくるわけ!?」
「娘のあんたより、その優秀な社員を逃したくなかったからでしょ。あんたは生贄ってとこね」
私の憤りにマキが冷静に突っ込む。
くうぅ……!!
「需要がなければ生け贄にはなり得ませんよ、マキちゃん!」
「まあいいじゃないの。
梓は可愛いのに男に妙に冷めてんだから。
そのイケメン君に開発してもらいなさいよ」
マキは綺麗に塗ったネイルで私の額をつついて言う。
私が男に厳しいのはあの父を見てるからだけどね!!
マキが楽しそうに笑った。
「案外、恋が生まれちゃうかもよ?」
「え~!え~!
で?どうなったの!?」
次の日私は、不機嫌オーラをまき散らした顔で大学に行き、親友のマキに洗いざらい喋らされた。
合コンクィーンの異名を持つ恋バナ大好き彼女は、勢い込んで聞いてくる。
その顔に“良いネタいただきました”って書いてあるよ、マキ!
「知らないよ!
あんなの犬に咬まれたようなもんだよ。あいつ絶対私のこと嫌いだもん。ただの嫌がらせ!」
昨日は思わず茫然としてしまったけど、もちろん鳩尾への一発は忘れずに入れようとしたわけですよ。
ところがあいつ、避けた。難なく私の拳を手で受け止めたんだよ。
やるなコイツ……!
と仕方なく引き下がったけれど、あと一発くらい、いや三発くらい殴っておくべきだった……!
私は自動販売機で買ったパックのカフェオレにストローを突き刺す。
苛々しているせいで力を込め過ぎて、ストローがぐにゃりと曲がった。
「何でお父さんはあんなのを拾ってくるわけ!?」
「娘のあんたより、その優秀な社員を逃したくなかったからでしょ。あんたは生贄ってとこね」
私の憤りにマキが冷静に突っ込む。
くうぅ……!!
「需要がなければ生け贄にはなり得ませんよ、マキちゃん!」
「まあいいじゃないの。
梓は可愛いのに男に妙に冷めてんだから。
そのイケメン君に開発してもらいなさいよ」
マキは綺麗に塗ったネイルで私の額をつついて言う。
私が男に厳しいのはあの父を見てるからだけどね!!
マキが楽しそうに笑った。
「案外、恋が生まれちゃうかもよ?」