私んちの婚約者
離別、婚約者
***
ドアチャイムなど放っておこうとした愁也をねじり伏せて、私は階下に降りてそのドアを開ける。
「たっだいま~梓ちゃん、愁也くん!」
ご機嫌で帰宅したのは父だった。なるほど、空気読めないヤツはコイツですか。やっぱりな!
父は迷わずリビングに向かい、愁也も遅れて降りてきた。
挨拶もそこそこに、父は相変わらず安定の世迷い事を巻き散らかす。
「仲良くしてた?
来年あたりには孫が見られるかな……」
おいこら!!
飛躍しすぎだ、馬鹿親父!
相変わらず花満開な父の脳内は放っておくことにして、私はチラリと愁也を見る。
いささか不機嫌そうな様子はあるものの、彼のさっきまでの妙な妖しさは引っ込んでいた。
やっぱりからかわれてただけ、だよね?
良かったような、残念なような……
いや!残念じゃない、断じて、残念とかじゃないのよ、私!!
愁也への気持ち。
それに対して何かを掴みかけてた私だったけど、それもまた良く分からなくなってしまった。
それもこれも、空気読めない読もうともしない、父のせいだ。
八つ当たり含め、手近にあったクッションを投げつけてやった。
「パパの馬鹿!!」
「え!?何いきなり?
ていうか梓、今パパって言ってくれた……!?」
妙な方向に浮かれる父を放置して愁也へ向き直った、時。
「そうそう、愁也君、
君もイタリア来ない?」
馬鹿父が、もう何度目かわからない爆弾発言をした。
ドアチャイムなど放っておこうとした愁也をねじり伏せて、私は階下に降りてそのドアを開ける。
「たっだいま~梓ちゃん、愁也くん!」
ご機嫌で帰宅したのは父だった。なるほど、空気読めないヤツはコイツですか。やっぱりな!
父は迷わずリビングに向かい、愁也も遅れて降りてきた。
挨拶もそこそこに、父は相変わらず安定の世迷い事を巻き散らかす。
「仲良くしてた?
来年あたりには孫が見られるかな……」
おいこら!!
飛躍しすぎだ、馬鹿親父!
相変わらず花満開な父の脳内は放っておくことにして、私はチラリと愁也を見る。
いささか不機嫌そうな様子はあるものの、彼のさっきまでの妙な妖しさは引っ込んでいた。
やっぱりからかわれてただけ、だよね?
良かったような、残念なような……
いや!残念じゃない、断じて、残念とかじゃないのよ、私!!
愁也への気持ち。
それに対して何かを掴みかけてた私だったけど、それもまた良く分からなくなってしまった。
それもこれも、空気読めない読もうともしない、父のせいだ。
八つ当たり含め、手近にあったクッションを投げつけてやった。
「パパの馬鹿!!」
「え!?何いきなり?
ていうか梓、今パパって言ってくれた……!?」
妙な方向に浮かれる父を放置して愁也へ向き直った、時。
「そうそう、愁也君、
君もイタリア来ない?」
馬鹿父が、もう何度目かわからない爆弾発言をした。