私んちの婚約者
別に私達、付き合ってるわけじゃないし。


愁也が海外に行ったって、私と平気で離れたって、関係ないじゃん。


関係ない、よね。
関係ない、けど。

……これは、マズい。


淋しい、とか思うあたり、わたし愁也病の末期かもしれない。
いつの間にか発症してたんだ。


どうしよう。



もやもやした私が助けを求めたのは、マキだった。
翌朝にちょうど大学の入り口で彼女を捕まえて事情を話したら、お昼休みには私をカフェテリアの隅っこに連れ出した彼女は、さらりと言ったのだ。


「やられちゃえば良かったのに」

「はあああ!?マキさあん!?」


私の情けない声に、マキは呆れたように言う。

「そうでもしなきゃアンタわからないんでしょーが」

「そ、そうかもだけど、物事には順序ってものがね?」

焦る私。
マキちゃん美人なのに彼氏が居ないのは、男の子以上に男前なその性格のサッパリ加減だけじゃないような気がしてきた。
私にも容赦なく見えない矢が刺さるかのよう。


「何言ってんのよ、すでに酒の勢いでヤッといて」


……返す言葉もありません。


黙ってしょげる私を頭をマキはポンポン叩いて。


「愁也さんもな~。鈍感極トロの梓相手に悠長過ぎだわね」

何それ。何その鈍感極トロって。
軍艦上トロみたいじゃん。美味しそう。


「梓っ!そんな事言ってるからダメなのよっ」


そうですよね~……。
< 49 / 274 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop