私んちの婚約者
*
「梓、どいて。邪魔」
マキさん、恋は生まれません。
「愁也さんが避ければいいじゃん!」
「可愛くねーガキ」
んだとコラ!
マキさん、絶対絶対、
恋なんて生まれません!!
愁也との共同生活が始まって、3日目。
あのキスなんて全く無かったかのように、奴は傍若無人、自由奔放に振る舞っている。
学生と社会人じゃ生活習慣も違うし、食事以外関わりもなくて、正直何のために一緒に生活してるのかわからない。
ーーただ、食事だけは。
私が作って、呼べば愁也が一緒に食べる。
「あ、美味しい」
印象最悪な一日目に呟かれた彼からの意外な褒め言葉に、私は不覚にも嬉しくなっちゃって。
以来、食事当番は私。
だって、こんなに素直に喜んでもらえるとは思ってなかったんだもん。
……上手くのせられたのかもしれないけど、さ。
「あ、これも美味い。
梓の数少ない取り柄だね」
愁也の食べっぷりは正直気持ち良い。たくさん食べるけど、お箸使いとか姿勢が綺麗で。
思わずじっと見てしまった事をごまかすように、私は彼に不審な目を向けた。
「……愁也さん、私の取り柄の数を知るほど親しくないよね」
愁也はまたあの皮肉気な笑みで、私を見る。
「他の取り柄、あるなら教えてよ。
何なら、ベッドで」
……この人、最低。
恋、生まれません。
「梓、どいて。邪魔」
マキさん、恋は生まれません。
「愁也さんが避ければいいじゃん!」
「可愛くねーガキ」
んだとコラ!
マキさん、絶対絶対、
恋なんて生まれません!!
愁也との共同生活が始まって、3日目。
あのキスなんて全く無かったかのように、奴は傍若無人、自由奔放に振る舞っている。
学生と社会人じゃ生活習慣も違うし、食事以外関わりもなくて、正直何のために一緒に生活してるのかわからない。
ーーただ、食事だけは。
私が作って、呼べば愁也が一緒に食べる。
「あ、美味しい」
印象最悪な一日目に呟かれた彼からの意外な褒め言葉に、私は不覚にも嬉しくなっちゃって。
以来、食事当番は私。
だって、こんなに素直に喜んでもらえるとは思ってなかったんだもん。
……上手くのせられたのかもしれないけど、さ。
「あ、これも美味い。
梓の数少ない取り柄だね」
愁也の食べっぷりは正直気持ち良い。たくさん食べるけど、お箸使いとか姿勢が綺麗で。
思わずじっと見てしまった事をごまかすように、私は彼に不審な目を向けた。
「……愁也さん、私の取り柄の数を知るほど親しくないよね」
愁也はまたあの皮肉気な笑みで、私を見る。
「他の取り柄、あるなら教えてよ。
何なら、ベッドで」
……この人、最低。
恋、生まれません。