私んちの婚約者
マキは呆れ顔で言う。

「あんた今まで彼氏いたことあるでしょうが。やることやってたでしょうが」

「愁也は全部が全然違うんだもん!
未知との遭遇なんだもん!!」

「あんたの婚約者は宇宙人か」


そ、そうかも。
少なくともあのフェロモンは地球外生命体な気がしてきた。


なにより、ちょっとだけもやもやするのは。


「それに、愁也イタリア行っちゃうもん」


その言葉に、マキは一瞬、へ?みたいな顔をした。


「は?イタリアが何よ、だってあんた」

……。
……。


何かを言いかけたのに、急ににやあ~っとマキが笑った。
うへ、美人顔が台無しだよ、マキちゃん。


彼女は今にも高笑いしそうな様相で、高らかに言う。

「ふ~ん、それで淋しいんだあ!

もう帰って来ないかもしれないわねぇ!
今告らないと、イタリア美人に奪られちゃうかもねぇ~」


!!


「うわああん!!
マキの意地悪~!!」

「自業自得よ、この鈍感娘」


べえべえ泣く私に、心底楽しそうにマキが言う。分かってたけど!
マキさん、ドSだ!!

そう言えば水樹君がよく泣かされてたな。
比喩じゃなく、マジで。


考え込んでしまった私に、彼女は笑う。

「ねぇ、そこで泣けるなら、もう答えは出てるんじゃないの?」

優しく私に言った。
頭ナデナデ付きで。ここ大事、ナデナデ付きで!!


「マ、マキちゃああん」

「ウザい」


……やっぱりドSだ。
< 50 / 274 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop