私んちの婚約者
三崎さんは、私が他の女性社員に色々言われたのを聞いてたこと、気付いてたのかな。
にっこり微笑んで、言った。


「愁也ーー天野チーフと、お幸せに」


なんとなく、愁也が彼女と付き合っていた理由が分かった気がする。


「ありがとう、ございます……」


優しい人だ。
素敵な、大人の女性だ。


去っていく彼女を、ぼーっと見つめてしまう。


「三崎と何か、話してたのか?」

後ろから愁也に問われた。
元カノが気になるのかな。


「惚れそう。お姉様~」

「は!?梓、何言ってんだ!?」



“大切にされてる”


その一言が
嬉しかったなんて、教えてあげない。


それからは一転して機嫌良くオフィスを動き回る私に、愁也は何か言いたげにしていたけれど。

「もう良いから、ちゃんと仕事しなよ」

と席へ戻るよう促してみた。

いい加減“金のがちょう”状態は困るでしょうが。

そうしたら愁也は眉をしかめて私に呟いた。


「どっかの男にアメあげるって言われても、ついて行ったらダメだよ」


……だから、私は小学生か。
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