私んちの婚約者
数分後、とんでもないお客様を我が家のリビングに(嫌々)招き入れ、私は遠慮なくマリアを観察していた。

豊かな金髪、豊満なバスト、くびれた腰、ぷっくりした赤い唇。
これで17歳って。
イタリアすげー。ピザ食べてたらああなれるのかしら。


「梓、ピザ屋のメニュー、置きなさい」

愁也が私の手からメニューを取り上げる。

ああ、ぴざぁらお届けして貰いたいのに~。


マリアは私が本当に婚約者と知ると、途端に敵意バリバリの目で睨んできた。

つり上がった目がネコみたい。わかりやすい子だなあ。

「ちなみに私にゃんこは好きよ?」

「何のハナシね!?
シューヤ、こんなの放ってワタシとイタリアに帰る!」

こんなの呼ばわりかよ。

私の精一杯の好意(ですよもちろん)にも彼女は一睨みを返してきて、話し合いの余地なんてどこにもなさそう。

うーん、黙ってみてればほんとーに可愛いんだけどなあ。男は放っておかないだろうなあ。

……なんて思って、ぎくりとする。
目の前にいる私の婚約者だって、れっきとした男性じゃないか。

しかも。


「マリア」


困ったように愁也が彼女を見た。

けれどその腕にしがみついたマリアを引き剥がしたりはせず、そのままにしている。



何だかそれが。


……無性に、腹が立つ。
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