私んちの婚約者
*
「イタリア支社開発部長の娘が何だ!私は日本本社の社長令嬢だっての!!」
二人をリビングに残し、キッチンへお茶の用意に来た私。
叫んでみるものの、虚しい抵抗だ。
だってさあ、私自身に彼女より魅力的なとこがある?
美人で、スタイル良くて、性格……はともかく、素直で情熱的。
私の取り柄って。
「料理と……キス?」
ありえねぇ!
ありえないよ!!
自慢できない、
恥ずかしすぎる!
履歴書に書こうもんなら「え……大丈夫?」と頭の具合を心配されてしまうか、絶対零度でスルーされる並みの特技だわ!
マキなら『馬鹿ねぇ、愁也さんが選んだのはアンタでしょ』て言うとこだ。
自信を無くしちゃだめ。
弱気になっちゃだめ。
だけど支社の準備にイタリアに行く度に、愁也はあんな風に迫られてたのかと思えば。
……ムカつく。
「梓?」
戻らない私を心配したのか、愁也がキッチンへと顔を出した。
「梓、コーヒー淹れに行ったんだよな?……なんでフィルタにホットケーキミックス入れてるの」
「うるさい!これが絶品なんだよ!多分!!」
ブスッと返す私。
愁也はクスリと笑って、私の手からコーヒーフィルターを取り上げる。
「イタリア支社開発部長の娘が何だ!私は日本本社の社長令嬢だっての!!」
二人をリビングに残し、キッチンへお茶の用意に来た私。
叫んでみるものの、虚しい抵抗だ。
だってさあ、私自身に彼女より魅力的なとこがある?
美人で、スタイル良くて、性格……はともかく、素直で情熱的。
私の取り柄って。
「料理と……キス?」
ありえねぇ!
ありえないよ!!
自慢できない、
恥ずかしすぎる!
履歴書に書こうもんなら「え……大丈夫?」と頭の具合を心配されてしまうか、絶対零度でスルーされる並みの特技だわ!
マキなら『馬鹿ねぇ、愁也さんが選んだのはアンタでしょ』て言うとこだ。
自信を無くしちゃだめ。
弱気になっちゃだめ。
だけど支社の準備にイタリアに行く度に、愁也はあんな風に迫られてたのかと思えば。
……ムカつく。
「梓?」
戻らない私を心配したのか、愁也がキッチンへと顔を出した。
「梓、コーヒー淹れに行ったんだよな?……なんでフィルタにホットケーキミックス入れてるの」
「うるさい!これが絶品なんだよ!多分!!」
ブスッと返す私。
愁也はクスリと笑って、私の手からコーヒーフィルターを取り上げる。