私んちの婚約者
葛藤、婚約者
**
今日は愁也は仕事に行き、講義の少ない私は大学を休んだ。単位はまだ大丈夫……のはずだ。
だけどマリアと二人きりになった昼間、会話が保たない。
よ、よーし、お姉さんがいっちょ会話を、弾ませてやろうじゃない。見てろよ!
「ねえ、マリア。……す、好きな食べ物は?」
私の最大限の譲歩を、マリアは一蹴した。
「Non capisco(言ってることわかりません)」
あんたさっきまで日本語ペラペラだっただろうが!!
会社に行こうとした愁也にへばりついて、日本語で思いっきりプロポーズの嵐をかましていたの、見てたぞ!
いやいや、落ち着くのよ、梓。
相手は子供だ。しかも外国人だ。
国際問題を起こす前に落ち着け~。
長い長い溜め息をついた私は、こっそり握りしめていたピコピコハンマーをクッションの下に隠す。
今朝、愁也から「本物はダメだから。これにしといてね」と渡されたんだ。本気で私がマリアを叩くと思ってたんだろうか。目が笑ってなかったな、うん。
むむ、こういう時は共通の話題、ね。私達に共通するものなんてたった一つーーひとりだけだ。
なんとなく聞いてみる。
「なんでそんなに愁也好きなの?」
マリアは美女だし、本国にボーイフレンドなんていくらでもできそうなのに。
マリアは私を睨んだけど、素直に教えてくれた。
「パパの仕事のパーティーで、ワタシ大人ばかりでつまらなかったね。オロオロして周りばかり気にしてたヨ。シューヤはワタシに凄く優しくしてくれたネ」
愁也のことを話すマリアは恋する乙女で。
キラキラしてる。
そんな顔してれば、男の人は嬉しいよね。
ちょっとだけちりっとうずく胸に、知らんぷりして、私は彼女の話を聞いていた。
「ソレから何度もプロポーズしてる。シューヤは断るけどいつも優しいネ」
今日は愁也は仕事に行き、講義の少ない私は大学を休んだ。単位はまだ大丈夫……のはずだ。
だけどマリアと二人きりになった昼間、会話が保たない。
よ、よーし、お姉さんがいっちょ会話を、弾ませてやろうじゃない。見てろよ!
「ねえ、マリア。……す、好きな食べ物は?」
私の最大限の譲歩を、マリアは一蹴した。
「Non capisco(言ってることわかりません)」
あんたさっきまで日本語ペラペラだっただろうが!!
会社に行こうとした愁也にへばりついて、日本語で思いっきりプロポーズの嵐をかましていたの、見てたぞ!
いやいや、落ち着くのよ、梓。
相手は子供だ。しかも外国人だ。
国際問題を起こす前に落ち着け~。
長い長い溜め息をついた私は、こっそり握りしめていたピコピコハンマーをクッションの下に隠す。
今朝、愁也から「本物はダメだから。これにしといてね」と渡されたんだ。本気で私がマリアを叩くと思ってたんだろうか。目が笑ってなかったな、うん。
むむ、こういう時は共通の話題、ね。私達に共通するものなんてたった一つーーひとりだけだ。
なんとなく聞いてみる。
「なんでそんなに愁也好きなの?」
マリアは美女だし、本国にボーイフレンドなんていくらでもできそうなのに。
マリアは私を睨んだけど、素直に教えてくれた。
「パパの仕事のパーティーで、ワタシ大人ばかりでつまらなかったね。オロオロして周りばかり気にしてたヨ。シューヤはワタシに凄く優しくしてくれたネ」
愁也のことを話すマリアは恋する乙女で。
キラキラしてる。
そんな顔してれば、男の人は嬉しいよね。
ちょっとだけちりっとうずく胸に、知らんぷりして、私は彼女の話を聞いていた。
「ソレから何度もプロポーズしてる。シューヤは断るけどいつも優しいネ」