私んちの婚約者
危険、婚約者
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「梓あぁー!!マイハニー、久しぶり~!」

叫び声を上げたその不審者は、いきなり私へ抱きついた。

「ぎゃあああ、変質者!お巡りさーん!!」

私は負けず劣らずの大声で叫んだけど、その男は構わず私を抱き締める。ものっすごい馬鹿力。全く身体が動かない。

なんだこいつ!なんだこれ!

私は頭が真っ白になり、とにかく逃れようと暴れる。

そうだ!マキ!!

「マキ!見てないで、助けて!警察、せこむぅ、ながしまさ~ん!!!」

マキは唖然としていたが、私の叫びに慌てて……男の手を握り締めた。


「合コンとか、お好きですか?」

マキちゃあああんっ!!!?

「うるさい梓。私の理想のワイルド系イケメンがここに……」

何が起きているのおぉ!?


男は私を放して顔を覗き込んだ。
マキのいうとおり、精悍な感じの、格好良い男の人だ。私よりはかなり年上って感じではあるけれど、きりっとした顔に、少し浅黒い肌。一つに纏められた髪。スラッとした体型なのに、腕や脚は筋肉質。

でもーー野獣みたいな、男。
その強い眼が私を射抜く。


「梓」


重低音の、その、声が。
私を揺さぶる。


――自分の力で生きろ。さもなきゃ野垂れ死にだ。


耳に蘇る、声。
知らない。嫌だ、思い出したくない。


「アンタ誰」

震える声で聞けば。男はにやりと笑った。


「氷崎甲斐。お前の、叔父さん」
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