私んちの婚約者
二度寝して見た夢は、マリアが蜂のコスプレして、マシンガン撃ちながら私を追い回す、凄まじく疲れる夢だった。

「んにゃあああっ」

奇声を上げて飛び起きれば。

「愁也?」

彼が隣に居ない。
階段を降りてリビングへ向かうと、そちらから話し声がする。


「結局あなたは何をしたいんですか?梓に思い出させたいのか、そうじゃないのか」

愁也の声だ。

「15年振りに姪っ子に会っちゃ悪いかよ」

相手はカイ兄。

「悪いとは言ってません。ムカつくだけです」

……なんとなく入りづらい。
コブラ対マングース的な対決の中に、カエルな私は入ってけない。両側から喰われそう。怖ぇ~……。

カイ兄の溜め息が聞こえた。

「……確かめたかったんだよ。梓が俺を見て思い出さないか。思い出すくらいなら、もっと強烈な記憶に塗り替えてやろうと思ってな?」

「それでセクハラ三昧?頑張る方向がおかしいですよ」

愁也の呆れた声。うん、私も同感だ。

「それにな?今のあいつを支えてやれるのか、お前さんの査定もしに来たってわけ」


カイ兄は、やっぱりカイ兄だ。
私を心配して、駆けつけてくれる叔父さん。

……規格外にエロ親父だとしても。
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