冬美の初恋
外を出ると、雨は止んでいた。

でも、いつまた降り出してもおかしくない空模様だ。

これから、どうしよう………。

今日、バイトないけど、家に帰りたくない。

家に帰ったら、絶対考えこんじゃう。

どうしよう、逃げたい……。



私はそのまま電車に乗り、3つめの駅で降りて映画館に向かった。

小さくて、ボロイ映画館では、2作しか上映していなかった。

コテコテの恋愛映画か、グロそうなホラー映画のどちらかしかなく、私はホラー映画を選んだ。



本当は、ホラーなんて大の苦手だけど、少しでも内容の濃さそうなほうを見たかった。




忘れたい、忘れたい、忘れたい………。


「学生1枚」

「本日の上映はもう今上映してるので終わりなんですけど……」

「いいです、途中からで」

時間に合わせて来てないのだから、当然時間がかみ合わなかった。

上映開始からもう30分も経っていたけど、何かもうそれでもかまわなかった。

受付の人には変な顔されたけど。
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