冬美の初恋
何で、雨の話なんかしてるの?

そんなに、目立つ存在じゃないのに。

「冬美、どうした?」

立ち止まっている私を、マナミが呼んだ。

「ごめん…今いく」

二人の前では平静を装ったけど、心の中では疑問符が止まらなかった。



どうして?

雨のこと……

好きなの?


自分でも、自分がすごく動揺しているのがわかる。


もし、雨に告白なんかされたら……


雨は、OKするかもしれない。


来るもの拒まず、去るもの追わずという感じだし。



でも、私みたいに雨の過去を知ったら?


あの軽そうな子が、受け止めきれるとは思わない。

私でも無理なのに。


「………………」

でも、わかんない。

もしかしたら、あの子も似たような経験をしてて……分かり合えるかもしれない。


受け入れられないと言って泣く女より、そっちの方が全然つき合いやすい。


だんだん気持ちが暗くなってきた。

第一、あの子がどうゆう子か知らないし、好きかどうかもわからないのに。


なに考えてるんだろ。

また……自己嫌悪。
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