冬美の初恋
「えー何いきなり」

「いや、今日の集会のとき、私の友達がかっこいいって言っててさ。あの、お兄ちゃんが後ろから肩組んでた人」

特徴だけじゃあまり伝わりにくいので、もっと具体的に話した。

「えー………誰だ?」

しかし、お兄ちゃんは相変わらず唐揚げを頬張りながら首を傾げる。

「何か、ちょっと一匹狼チックな感じの………」

「んー和久かな?」

「うん、たぶんその人。なんか、どんな人?」

ようやくヒットしたようで、嬉しくて身を乗りだした。

「あんまりしゃべるタイプじゃないけど、話してみると…何かマイペースな奴かな。暗いってゆうよりは、クールでシュールみたいな(笑)」

「お兄ちゃん、仲いいの?」

「そーだな………たまに話す程度だけど」

「………彼女とか、いるかな?」

ここで"いる"って言われたら……と思いながら聞いてみた。

「………たぶん、いないと思うよ」

「…………そっか」

なぜだか、少し顔がほころんだ。

「嬉しそうだね」

「まあ、友達が気に入ってるみたいだし………」

………嘘だけど。

「気になってるなら、俺がアドレス聞いておこっか?」
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