冬美の初恋
「……今日、ヒマ?」

「うん………」

「じゃあ、駅に買い物行こうよ!冬美、化粧とかしないでしょ?」

「う……うん。化粧品とか、高いし……」

確かに私のしてる身だしなみと言えば、眉毛を整えるとか、その辺ぐらいだ。

髪も、寝ぐせ直すくらいで染めたり、巻いたことはない。

「今は安くていいのもあるから。冬実、睫毛長いし、肌もキレイなんだから、活かさなきゃもったいないじゃん。じゃ、決定ね」

「え……でも………」

「もしかしたら、向こうから声かけてくれるかもよー?」

「そ……んなコトは………」

さすがに、ないと思うけど…………。


放課後。

「てか、冬美のお兄ちゃんと同じクラスなら、お兄ちゃんに協力してもらえばいいじゃん」

駅前の薬局でマナミは試供品のマスカラを塗りたくっていた。

「いや、お兄ちゃんはちょっと……嫌かも」

「嫌なの?冬美、お兄ちゃんと仲いいじゃん」
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