冬美の初恋

「何か………顔つきが、変わったから」

「化粧してるだけだよ。今日、友達に教えてもらったの」


「ふうん」

みやちゃんは少し嬉しそうに、笑ってくれた。

そう話してる内に、リビングからお兄ちゃんが顔を出してきた。

「おかえりーあれ?冬美、化粧してる?」

「うん……友達に、してもらった」

「好きな人ができたのよ」

「ちょっと、みやちゃん!」

「え、冬美そんなんいるの?」

お兄ちゃんは心配そうな顔で聞いてきた。

「い、いないいない。別に、高校生なんだし、化粧ぐらい、普通でしょ!」

恥ずかしくなって、逃げるように部屋に駆け込んだ。


しばらくして、部屋にノックの音がした。

「入ってイイ?」

………お兄ちゃんだ。

「………はい。」

私はベッドにくるまったまま、返事した。

「冬美………好きな奴いるの?」

「いないよ、みやちゃんの勘違い」

お兄ちゃんはベッドの前に腰かけた。

「じゃあ何で急に化粧なんか………今まで興味ないとか言ってたじゃん」

「急にしてみたくなったの。別に、自分の小遣いで買ったし、いいでしょ?」
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