冬美の初恋
お兄ちゃんも、さすがに明日の朝には帰ってると思うし。

〝お兄ちゃんへ さっきははごめんなさい。実は、私ね、気になる人が……〟

「いや、これはだめだ」

さすがに恥ずかしくなって、それは丸めてゴミ箱に捨てた。

〝お兄ちゃんへ
さっきはごめんなさい。私が化粧してみたのは、確かに周りの子の影響もあると思う。やっぱり、私も女だから、きれいになりたいって気持ちもあるし。あまり、度が過ぎないように気をつけます〟

「これで、いいか………」


……………。


あの人にも、手紙書こておこうかな………。


「校舎で、いつ会うか解らないし……」



「はっ」

朝になり起きると、いつもと違う違和感がした。

嫌な予感がして、目覚ましを見ると………

「8時?!」

やばい!寝坊!アラームが鳴っていた記憶はかすかにある。

たぶん、切った後にそのまま二度寝しちゃったんだ。

家に当然お兄ちゃんの姿はなく、急いで支度した。

「……先に行かなくても、起こしてくれたらいいのに」

手紙部屋に置いておいたのに………まだ怒ってんのかな~?

家を出て、ケータイの時計を見ると、1時間目はもう始まっていた。
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