冬美の初恋
「だから、相手から直接アドレス聞いて、自分から送ったほうがいいよ」

「でも…そんな機会……」

「機会あるよ。雨君、体育係だから、倉庫の片付けあるし。体育の時間終わるまで、ここで待ってなよ」

「え………はいっ」

もういいや。1時間目は、どうせ遅刻だし……

「じゃ、私、走ってくるね」

「はい、頑張って」




私は倉庫の奥で、座り込んだ。

とりあえず、お兄ちゃんに、一応、メール送っておこう………


『今どこ?学校きてないよね』



ああ………何て話そう…………。



キーン、コーン、カーン…………

1時間目終了のチャイムが鳴った

「冬美ちゃーん」

「あ、ノリちゃん」

「雨君、来てるよ」

「え?」

「倉庫の前に呼んでおいたから、じゃね」

ノリちゃんはそのまま走って友達のところへ行ってしまった。

私は、そっと倉庫の前を見た。
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