冬美の初恋
私がまだ小学校の頃に両親が事故で亡くなり、それからはおにいちゃんとお母さんの妹・宮子さんと古いアパートで3人暮らししている。

といっても、みやちゃんはあまり家に帰ってこないから、ほとんどお兄ちゃんと二人暮らししてるようなものだ。

生活は、両親の保険と、みやちゃんの援助と、私とお兄ちゃんのバイト代で何とか生活している。


「冬美、明日バイトだよな?」

「うん」

「雨降るらしいから、気をつけろよ」

「そんな、小学生じゃないんだから」


私のバイト先は、近所のパン屋さん。

お兄ちゃんは最初反対していたけど、閉店時間が7時半と意外に早いのと、私の家計を手助けしたいという意志を汲んで、しぶしぶOKしてくれた。



次の日。

「うわ~土砂降りだね、山瀬さん」

窓の外を見て、バイトの先輩は嫌そうな顔をした。

「そうですね」

(こんなに降るなんて………濡れたくないのに)

「お客さんこなそうだし、もう10分だし、片付け始めようか」

「はーい」

「私、中片付けてくるから、山瀬さんはパンと看板の片付けお願い」

先輩は支持を出しながら、厨房へ入って行った。

「わかりました」
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