冬美の初恋
『わかった。今日の晩御飯、なにがいい?』

正直、こんなことは家に帰ってからでも聞けるけど、疑問形にしたのは…またケータイに鳴って欲しいから…………


「ん?」

お兄ちゃんへのメールをうっていたら、画面の上の方にメールのマークがついた。

「……………!」

私はお兄ちゃんへのメールを中止にして、受信ボックスを開いた。


和久雨



「やった………」

『別にいいよ。呼び方は、和久でもいいし、雨でもいいし』

「え、返事きたのっ?」

「うん、うん」

「やったじゃん」

マナミと万里は肩を叩いてくれた。


『じゃあ、雨くんで。私のことも、冬美でいいです。雨くんは、何か部活とかやってます?』

少し経ってから、またメールがきた。

『わかった。俺は帰宅部』


『そうなんですか?でも今日の体育、ちょっと見てたけど、脚はやいですね。家は、どの辺ですか?』


『昔サッカーやってたけどね。家は、春日公園の近くの団地』

『そうなんだ。あの、シミドールってパン屋、知ってます?』


『うん、たまに行く。そっちは何年?』
< 34 / 134 >

この作品をシェア

pagetop