冬美の初恋
『あ、言うの忘れてました。1年です。私、シミドールでバイトしてるんです。一度、私がレジやってるときにきたんですけど、覚えてます?』


『それいつごろ?』


『2週間くらい前の雨が降ってた日に、猫連れてきませんでした?』


『行ったのは覚えてるけど……レジやってたのは知らんかった』



『はいっ。あの時は、ありがとうございました。あと、雨君は、彼女いますか?』


『いないよ。』

「よっしゃ!」

私は小さくガッツポーズをした。

またケータイが鳴った。

私はまだ返信していないから、たぶんお兄ちゃんだ。


『今日はグラタンがいいかな♪』


お兄ちゃんて言えば………ノリちゃん、雨くんに私のことなんて説明したのかな?

お兄ちゃんには言わないで………とは頼んだけど………。

まだ雨くんには、私が"山瀬冬美"だって、知られたくない…………。

「なんで?」

「それは………」

ふと漏らした私の不安に、マナミは不思議な顔をしていた。
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