冬美の初恋
ノリちゃんのケータイ番号知らないし………授業終わったら、3Fまで行って聞いてみよ。


幸い、お兄ちゃん今日いないし………。

もしかしたら、雨くんに会えるかも……なんて期待もあった。



キーン、コーン……

帰りのHRも終わって、私は急いで3Fへ向かった。

3Fの前に行くと、丁度、当番だったらしくノリちゃんが廊下掃除していた。

「ノリちゃん!」

私が手をふると、ノリちゃんは気づいて笑いかけてくれた。

「あ、冬美ちゃん………夏生から、連絡きた?」

「あ、昼ごろにメールで、今日は休むって……ノリちゃんメールきてない?」

「きてな~い………」

ノリちゃんは少しふてくされたように箒をはいた。


ノリちゃんのそんな仕草が、少し可愛らしく見えた。

でも…てっきりノリちゃんにも連絡きてると思ってた。

もぉ……お兄ちゃんたら。

「すいません……たぶん私には、昨日言い合いしたから気を使ってるんだと思います」

なんだか申し訳ない気持ちになり、つい謝ってしまった。

「いいよ、フォローしなくても。夏生………元々あんまり連絡くれないし」
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