冬美の初恋
「あ、おかえり」

お兄ちゃんはがばっと起き上がってリビングに行った。

私も何となくつられてリビングに行くと、みやちゃんは少し疲れた顔で、テーブルに肘をついてうなだれていた。


何となく話しかけられないでいると、テーブルの上のみやちゃんのケータイが震えだした。


みやちゃんはその音に参ったように頭を抱えた。



「………でないの?」

「いいの」

お兄ちゃんは少し気にしたけど、みやちゃんは素っ気なく答えた。


着信音は一回途絶えたが、間髪いれずにまた鳴り出した。

みやちゃんも堪忍したようで、ケータイを持ったままベランダへ出て行った。

「………何の話だろ」

私がベランダによろうとすると、お兄ちゃんに後ろから引きとめられた。

「俺らに聞かれたくないってことだろ」

「……………」

翌日。

今日も、雨くんと一緒に帰りたいけど………あ、メールで予約しとこ♪


『おはようです。昨日はありがとうございました。できれば今日も、一緒に帰っていいですか?』

すぐにケータイが震えた。
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