冬美の初恋
「でも、私との事はともかくとしても……最近、何かおかしいんです。急に、彼女と別れたり」

「ああ、言ってた」

「………何て、言ってました?未だに、別れた理由が私にはよくわからないんです」

お兄ちゃんに聞いても教えてくれなさそうだし、思い切ってダイキさんに聞いてみた。

「なんか……俺もよくわかんないけど、元々そんなに好きじゃなかったらしい。告ってきたから軽い気持ちで……みたいな。でもやっぱダメだったって」

「…………!」

私は溜まらずに、お兄ちゃんの胸倉掴んでビンタした。

「ちょっと?!」

「あんな良い人だったのに……なんで振るのよ、もったいない!」

お兄ちゃんは少し痛そうな顔をしたが、起きる気配はなかった。

「もう……やだ………お兄ちゃんなんか、学校行かずに誰からも相手にされなくなればいい」

めちゃくちゃ私情まじりの悪口叩いて、私は泣き出した。

だって、悔しかった。

お兄ちゃんは明るくて友達も多くて、子供の頃から人気があった。

きっと、色んな人を楽しませる才能があるんだと思う。

私にそんな力は、ない。

……同じ血が流れてるはずなのに。
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