冬美の初恋
「………………」

突然の告白に、雨くんは目を少し見開いた。

「雨くんに迷惑かけないから………好きでいさせてください」

今度は、涙は出なかった。

さすがにもう枯れてしまったのか、もう腹をくくったからなのか…………

雨くんは黙って考えごとをしている様だった。

「俺は……あの日から、何かいろいろ考えてて……」

「いきなり告白されて、頭のなかぐちゃぐちゃで………」

「でも、ここ1週間くらい、顔見てなくて、何か……もう会わないのか、とか………今どこにいるとかそんなことばっか……考えてて…」

それって……?

「すぐに返事は出せないけど、嫌いに……なった訳じゃないから」

……………!

「………私、今まででいい?」

感激で、声が震える。

「今まで?」

「今までみたいに、メールして、一緒に帰って……」

「…………うん」

私はその場にしゃがみこんだ。

「おい?」

「こ……腰ぬけた………」

「大丈夫…?」

雨君はあわてて私の腰に腕をまわし、立ち上がらせた。
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