冬美の初恋
家に着くと、お兄ちゃんはベッドで寝ていた。

「おにいちゃん………起きてる?」

お兄ちゃんは閉じていた目をうっすら開けて、私の姿を確認した。

「うん、起きてる………」

「病院、どうだって?」

「胃が荒れてるって。薬くれた」

あの血は…そのせいだったんだ。

「そう……晩御飯食べる?」

「………少し、頂戴」

「じゃあ、何か消化のいいもの、作るから」

「………ありがと」

そう言って、お兄ちゃんはまた目を閉じた。

「…………」

私はお兄ちゃんの隣に座り込み、手を握った。

「お兄ちゃん………そのまま聞いてね」

「ん?」

「お兄ちゃんには言ってなかったけど、私、雨くんとほとんど毎日一緒に帰ってるんだ。つき合ってはないけど……私は、つき合いたいと思ってる」

お兄ちゃんは少し眉間にシワを寄せた。

「そう……まぁ想像はついてたけど」

お兄ちゃんはそのままベッドに突っ伏した。

「……お兄ちゃん、ノリちゃんと……別れたって?」

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