冬美の初恋
一度、たまたま廊下でお兄ちゃんたちと遭遇したときに見たけど、ちょっとギャルっぽくて、明るい感じの人だった。

思ったより派手でびっくりしたけど……。

「まー俺もさ、過保護かなって思うときあるけど、やっぱ……たった一人の妹だし。大事にしたいんだよ」

「……それは、嬉しいけど」

私の事ばっか心配して、自分の事は大丈夫かな。

「てかさ、何か、今日帰り遅くなかった?」

「あー何か閉店間際にヘンなお客が来て、片付け遅れちゃった」

「どんな奴?」

私は、お兄ちゃんに例の彼の話をした。

「へー……なんか、珍しいよな」

「でしょ?こんな時間にあんな甘いものばっか………」

もう夕飯の時間なのに。

「じゃなくて。まあ、そいつも珍しい奴だけど、なんか冬美が誰かにこんな関心持つのって珍しくない?」

「え、そう?」

「うん、別に冷たいとかじゃないけど、冬美ってあんまり他人の話とかしないじゃん。友達の話とかはちょくちょくするんだけど」

「あー……そうかな」

まあ、確かに……あんまり人に興味がある方でもないし。

〝冷めてる〟ってたまに言われるけど…………。



(でも………あの人、また来ないかな………)
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