冬美の初恋
「結構、試合やってるじゃん」

家にパソコンがないため、漫画喫茶で検索をした。

でも、観戦チケット買うとなると…結構手続きが面倒だな。

まーしょうがない。

帰りに本屋に寄って、サッカー雑誌を購入した。

観戦行くからには、レギュラーの選手くらいは覚えないと。

「雨くん、好きな選手いる?」

昨日、一夜漬けで覚えた知識を見せたくて聞いてみた。

「………桃崎」

「………………」

誰だっけ…。

「……あの」

「ちょっと待って!言わないで!!」

焦って大きな声出しちゃった。

「……………」

「ごめん、いま思い出すから」

急いで頭の中の記憶のページをめくりまくった。

「……わかった!MFだ」

「そうだけど……」

「他に好きな人いる?」

少し調子にのってきて、もっと聞きたくなってきた。

「いや……てゆうか、名前……覚えてんだ」

「うん、観戦行くから…少しは覚えようと思って」

「……………」

雨くんは、また複雑な顔をした。

「……………」

ウザかった……かな。
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