冬美の初恋
「ヤス、お前リフティング教えてもらえよ(笑)」

一人の子がもう一人の子をちゃかすと、そのヤスという子は照れ笑いした。

「やってみて」

「……………」

雨くんに指示されて、ヤスという子はぎこちなくリフティングを始めた。

確かに、あんまり上手くない……。

2、3回ついてすぐ落としてしまった。

まぁ私がやっても多分こんなもんだけど。

「……………」

雨くんは転がったボールを片足ですくって、またリフティングを始めた。

やっぱ……雨くんは上手い。

ボールが足に吸いついてるみたい。

「次、いくぞ」

雨くんはそう言って、正面の子にパスを出した。

「えっ……とと」

パスを出された子は戸惑いながらも、リフティングをした。


そんな調子で、だんだん2対2のミニゲームみたいになってきた。

「ヤス!」

雨くんがヤスという子にパスを出すと、やはり戸惑ってしまい、他の子にパスカットされてしまった。

「す、すいません」

「ドンマイ」

雨くんは、少し落ち込み気味のヤスくんの肩を軽く叩いた。
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