冬美の初恋
雨くんて……こんな優しい表情するんだ。

正直、こどもは苦手かと思ってたけど…意外と楽しそう。


……………。


すごく、ドキドキする。

そんな雨くんを、いつまでも見ていたかった。

でも、5時からバイトが入ってて…いつもはもっと余裕持って行くけど今日はギリギリだった。

家に帰っても、気持ちはおさまらなかった。

なんて言うんだろ……

好きなんだけど。

もともと大好きだし、今もなんだけど…。

なんか、それよりもっと上の……。





「なんか、冬美…最近ボーっとしてない?」

万里に言われて、ハッとした。

「えっ…そう?」

「どうかした?」

「いや……何でも」

私は目を伏せた。

「そういえば、もうすぐサッカーじゃない?」

「うん、明後日だよ」

「楽しみだね」

そう言って万里は微笑みかけてくれた。

「うん………」

「テンション低いよ~(笑)」



最近、自分がわからない。


何がしたいんだろう。

いや、違う。わかってる。

認めたくないだけ。

雨くんを


雨を……


わたしだけのものに

したい……。
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