冬美の初恋
「何か、顔赤いけど…」

帰り道、雨に顔をのぞき込まれた。

「!!」

恥ずかしくて、思い切り顔をそらしてしまった。

「?」

「ご、ごめん…何でもないから」

「なんか、よく挙動不審になるな」

そう言って、雨は歩きだした。

やば……怒らせたかも。

「雨……」

呼び止めようとしたら、雨は急に振り返り、手の甲を私のおでこに軽く当てた。

「熱、ないしな」

「………………」

心配、してくれた?

「ありがとう」

嬉しくなり、私は雨の手に自分の手をからませた。



「じゃあ、ここで」

いつもの様に、分かれ道に着いたが………私は雨の手をまた握った。

「ん?」

「あの……今日…バイトないから、もう少し、一緒に…………いたい……みたいな」

恥ずかしかったけど、これは本音だった。

「………………」

うう…。

沈黙が痛い……。

「…じゃあ…家、くる?」

「え、いいの?」

「いいよ、うちの両親帰り遅いし」


や……やった……………!
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