デビル
不意にケータイの着信音が部屋に鳴り響いた。

2コールする前に相手も確認せず出る空。確認する必要などあるはずが無い、文佳以外から電話がかかってくる事は無いのだから。


「もしもし」
『あ、空ちゃん今時間ある?』

「うん、大丈夫だよ」
『あのね、最近できた評判のレストランがあるんだけど、今日の夕飯そこで一緒に食べない?』

「いいよ、どこに行けばいいかな?」
『じゃぁ、いつも待ち合わせに使っているカフェでね』

「分かった、すぐ行くね」


電話を切るなり、着替えを始めた。つとめて元気にしているつもりが、実のところ自然に元気になっている。

「……ほんと、妬けるな」

苦笑いしながら空はつぶやいた。
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