デビル
その後の言葉はほぼ頭の中を素通りした。

代わりに自分の声が耳の中で何かを言い始める。

自分の声だけど自分とは思えない罵詈雑言。


「何で……?何でそんな事を涼しい声で言えるの?」

耳の中の自分と重なる本当の声。

不快な不協和音。

頭が痛くなる。そしてある事に気付く。

これは自分だ。自分はいつも心の中で涼しい顔して人に毒づく。

自分はいつも相手を見下している。自分は絶対で他人は人生を彩る部品でしかない。

いうなら道端の草木や動物みたいなものだ。


認めた時、視界は色を取り戻し。礼佳の体を這いずる悪魔たちの手が見えた。

消えゆく脳内のノイズと入れ替わりにとんでもなくハイな気分がわいてきた。
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