追憶の旋律


「そうだなぁ…誘った方が、いいのかなぁ…」


そんなことを、ぼんやりとつぶやいてみる。

将大は呆れてはぁーとまた深くため息をついた。

俺だって、男子としてリードしなきゃいけないのくらいわかってるさ。

だけど

男子にも、いろいろあるんだ。

この学年は噂が回るのが早いし、すぐにからかわれてしまう。

そうするも、俺だって誘う気も失せる。

そんな屁理屈はよくないってわかってる。

でも、ただただ勇気が出せないんだ。

なんとか、なればいいんだけどな……。

強く、なれれば…。


ぐるぐると渦を巻く思考の海に、俺の勇気はどんどんと溺れて行く。

結果、いつも誘うことができない。

考えても考えても、行動に起こせない。

将大に協力してもらって、大人数で出かけることばかりだ…



「…情けねぇ……。」



どっかの恋愛小説みたいに、上手くいけばなぁ……。
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