追憶の旋律
「じゃあこれで、学活を終わる。

…あ、夕暮と古塔はこの後職員室の私のところに来るように。以上」


そう言って担任で生徒から絶大な人気を誇る、みのりんこと保坂稔《ホサカミノリ》先生はニッと笑った。そして教室からスキップしながら出て行った。

…はい?
なんで俺と千沙が呼び出されたんだ?
それになんだ、あの軽い足取りは。
こっち見て笑ったよな??
なんなんだまったく…なんかしたってのかよ…。


「おいおい…里玖。お前らなにしたんだよ」


「いや、こっちが聞きてぇよ。

俺らが何したってんだ?」


そうしている間に、千沙が俺のところへやってきた。
様子をうかがうと、かなり千沙も驚いているようだ。
そりゃそうだろうな、俺たちは何にもしてないんだから。


「り、里玖…?私たちなんで呼び出されたんだろう?」


「悪い千沙…。まったく予想がつかん」


成績優秀で1度も先生に呼び出されたことなどない千沙は、驚いてふるふると震えている。

そんな千沙の頭を軽くポンっと撫でると目をつむって子犬のような表情を浮かべた。


「まぁ、そんな怖がんなって。
どうせたいしたこともないさ…多分」


恐る恐るコクリと頷いた千沙を連れ、俺は職員室のみのりんの元へと向かった。
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