secret days
「鞄持ってさっさと来い」
「は、はいっ」
びっくりして思わず返事をしてしまった。
誰だか知らないけど、まぁいいや、この隙に逃げちゃお。
「あ、ちょっと…ルウ!」
「ごめんね、綾香。
ちょっと急いでるんだ」
たぶん、もうほとんど会わないだろうなぁ。
せっかくできた友達だったのに。
罪悪感を覚えながら、わたしは教室を出た。
「遅せぇよ!」
教室を出てすぐに、罵声が飛んでくる。
もちろん、罵声の主はあの男の子。
廊下の壁に寄りかかりながら、わたしを睨んでいる。
「失礼ですけど…
えっと、どちら様で?」
「はぁ?
まだ分からねぇの」
呆れた、と言う表情。
だけど“まだ”ってことは、やっぱり知り合いなんだよね。
うーん…
引っ越した幼馴染とか?
それとも小学校以来の同級生?
だめだ、わたしの周りにそんな人思いつかない。